Devilish Angel

腐女子向け二次創作

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渇愛 81

「ぱっつぁんよぉ。いつになったら土方は来んだよ」
「てか、どこにいるか、分かってるんですかィ」

土方が学校に来なくなって10日。彼らも全く連絡を取れていないらしく、痺れを切らしたのか。直接銀八のところに聞きにやってきた。
彼らは本当に土方のことを心配しているのか。皆が皆、銀八を睨み付けながら問い詰めてくる。これではまるで銀八が拉致犯人扱いである。
だがそれは彼らの土方への想いの深さのような気がして、銀八は苦笑を洩らしただけだ。

「ちゃんと分かってるよ。もうちょっと休ませてやってくれ」
「一体何があったんですか?」

桂の質問は皆を代表してのものだろう。しかし彼らが土方のことを心配しているのは理解できても、それを教えるわけにはいかなかった。

「それは俺にも分かんねぇ」

だからそうやって曖昧に答えるしかない。彼はちゃんと元気にしているから大丈夫だと言い聞かせて、その日は帰した。
土方はきっとこんなに自分が周りの者に愛されているなんて、自覚していない。自分には価値がないものだと思い込んでいる節がある。
そうではないのだと、伝えてやろう。こんなに皆、彼のことを心配しているのだと……。
その言葉はすぐには届かないかもしれない。それでも彼が信じてくれるまで、何度でも言い続けよう。
銀八はその日も伊東の家を向かうべく学校を出た。いつものように途中のスーパーに寄り、食材を買い込む。その日はハンバーグを作るつもりだった。
彼と初めて作ったのがハンバーグだ。彼はそんなことを覚えているだろうか。
途中、垂れ込めていた曇天の空からぽつりぽつりと雫が落ち始めた。もうそろそろ梅雨入りだ。湿った空気のおかげで銀八の天然パーマはすごいことになっている。
傘を持っていなかったために、少し小走りになった。
そしてあと少しで伊東のマンションだ、というところでそれは起きたのだ。
突然の後方からの衝撃。何が起きたのか、銀八には全く分からなかった。
それほど唐突の出来事で、走る激痛に銀八は混乱する。

 土方……っ

行かなければならないのに……。彼の元に……。
きっと彼は待っている。自分が食事を作ってやらないと、彼は餓死をしてしまう。
なのに体はぴくりとも動かず、その意識さえもぽっかりと大きく口を開けた闇の中に引き摺り込まれたのだ。

| 渇愛 | 2009-01-14 | comments:0 | TOP↑















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